王妃様につく人々はサン=ジェルマン=アン=レーに、対するフロンド派はパリに。パリ高等法院、そして不満分子の貴族たちは反マザランで結束
ロングヴィル公爵夫人の出産
ノーデ:それぞれに思惑があるわけだけれど、フロンド派はともかく反マザランということで、今のところは一致団結している
本の行商人ジャック:とりあえずは、ですね。
ノーデ:そして占拠しているパリ市庁舎で、ロングヴィル公爵夫人がご出産になったと!
ジャック:そうなんですよ。公爵夫人は昨年のフロンドの乱勃発以来、夫のロングヴィル公爵、弟のコンティ公とともにフロンド派の旗振りをしていますが、こんなときにご出産とは…
弟のコンデ親王はパリを攻める準備をしている
ノーデ:このあともうひとりの弟のコンデ親王がパリを包囲して、兵糧攻めにする予定なのだけれど、大丈夫なのか?
ジャック:しかも、お子さんの父親なんですが…ラ・ロシュフーコー公爵だそうです。
ノーデ:フロンド派の大貴族たちはまことにロマネスクというか、なんというか。
ジャック:ラシーヌさんはまだ少年で(ジャン・ラシーヌは1639年生まれ)、作家活動してませんから、むしろコルネイユさん(1606年生まれ)の悲劇に登場する人物のようなメンタリティですね。
英国王チャールズ1世の処刑
ノーデ:シャルル=パリ・ド・ロングヴィルと名付けられ、生まれ落ちた時から伯爵の地位を得たこのお子は、しかし、あまり長生きできない。
ジャック:長生きできないといえば、議会と全面衝突していた英国王チャールズ1世が、いよいよ30日に処刑されましたよ!
ノーデ:なんと!
ジャック:清教徒革命だそうです。
ノーデ:これはパリ高等法院も関心をもたないわけにはいかんだろうな。 ジャック:じっさい、英国の状況は王権に制限をもうけるどころの話ではなく、王様の首を刎ねてしまうのですからね。