1649年10月01日〜10月06日

ええええ!!! コンデさんとマザラン枢機卿が和解?

プチ和解はあぶくのように儚い

ノーデ:というわけで、宮廷のなかではプチ和解のようなものが繰り返されつつ、大きな歯車としては、しだいに破綻に向かっていくのだよ。

本の行商人ジャック:枢機卿の痛風が良くなって御前会議にも出られるようになってから、オルレアン公や、コンデ親王さえも事態は好転しているとあちこちでアピールなさってるようです。

ノーデ:しかし、なにより和平を嫌い、揉めさせたいのがフロンド派。それでは面白くない。

ジャック:そこでコンデ親王をつついては、マザラン枢機卿を排斥するようにと。

ノーデ:譲歩や交渉や妥協などは、あってはならない。なぜなら、王族の筆頭であるコンデ親王こそが正義。あなたの一存でことは決まるのだ、と盛んに言うのだ。

それぞれが権力に飢えて

ジャック:しかし、一方で、宮廷内にはコンデ親王が権力を掌握することに危機感を覚えるひともいるわけですよね。

ノーデ:ムッシューの周辺はどうもきな臭いな。

ジャック:ムッシューを担いで、自分の地位の安泰を図ろうとしている人たちがいますからね。

ノーデ:今、枢機卿はロングヴィル公爵夫人を懐柔しようとしている…

ジャック:コンデ家のご長女と下の弟のコンティ公も、兄を通じて権力を持ちたいと思っているでしょうね。

ノーデ:この時代、選挙とかないからな。実力行使で、認めさせるしかないのよ。そのためにいろいろ画策する。

ジャック:支持者を集め、地位や身分をばら撒き…あれ、どっかの世界と似ている?

ノーデ:人の集団が力になる。そのなかでさらに、平の貴族はコネと人脈を駆使してのしあがる。

ジャック:お貴族さまであるというだけでは、ダメなのですね?

ノーデ:王族であるならまだしも、ふつうに貴族でいるだけではダメだな。

王妃アンヌ様はご不快のようす

ノーデ:マザラン枢機卿の痛風の具合は良くなったようだが、王妃様はなにやら吐き気を訴えておられるようだ。

ジャック:なかなか心おだやかな日々とはいかず、宮廷にいてほしくないひとと会うたびに気分が悪くなっていらっしゃると、側近が言ってました。

ノーデ:そんななかで、よくロングヴィル公爵の謁見を許したものだな。

ジャック:王妃様の会いたくないひと5本の指のひとり、ですよね。

ノーデ:なんだかんだ言って、結局、ポン=ド=ラルシュを手に入れてしまったし、ロングヴィル公爵のゴネ通し勝ち。

ジャック:ぜひとも王妃様に一目あってお礼を申しあげたいとのことだったようです。しかし、王妃様のご対応は、傍目にも冷たいあしらいだったといわれています…

ノーデ:感情がもろにお顔に出るタイプ…

ジャック:それでもロングヴィル公爵は、私がかならずやコンデ親王をなだめてさしあげましょう…というようなことをおっしゃったとか。

ノーデ:そんなもの、口先だけに決まってるじゃないか!コンデ親王が荒ぶればこそ、ポン=ド=ラルシュだって、手にはいったのだ。荒ぶってこそなんぼの最終兵器、コンデ家の長男。ロングヴィルさんは、そんなこと1ミリも考えていないでしょうね!

Anne d’Autriche, par Rubens en 1625, musée du Louvre.