1649年10月14日〜10月20日

身分社会に流動性を与える力…お金

ノーデ:しかし、17世紀の社会でも、お金が地位や身分に流動性をあたえていたのだ。最初から貴族の身分に生まれなくても、商売でお金を貯め、官職を買い、子に相続させ、さらに高い官職を買い…と階段を昇っていくことが可能だった。

ジャック:パスカルの父のように、地方の旧家に生まれ、まず徴税官の職を買い、租税院の副院長にまで昇っていくこともありえたわけですね。

ノーデ:高等法院の法官になるのは典型的。法服貴族という呼び名もあるくらいだ。

ジャック:なかには貴族の身分がついている官職もあったし、さらに領地でも手に入れられれば、ご領主様だ!

ノーデ:財力にものをいわせ、没落貴族と結婚するという手もある。

ジャック:生まれのガチャで平民を引いてしまっても、旧家なら、お金のちからでなんとかなりますね。

誰もが王様により近づき、特権で光り輝きたいがゆえに…

ノーデ:最初から貴族に生まれた場合には、家紋をぴかぴかに保っておかねばならない。新たな特権を獲得し、持参金のいっぱいある家と縁組し…

ジャック:難儀なことで。

ノーデ:目下、宮廷で起きているのは、いってみれば序列争い。王様により近づき、ひとの羨むような、それとわかる特権を身につけられることに皆の関心がむいている。

ジャック:天下国家よりも?

ノーデ:だからこそ、貴族たちにとって、マザラン枢機卿はめざわりなのだ。

ジャック:皮肉なことに、マザラン枢機卿ご自身はそういうことにまったく興味ないみたいですよ?

ノーデ:マザラン枢機卿は先代のリシュリュー枢機卿の跡を継ぎ、王権を強化し、絶対王政を確立するという使命に生きているからな。

Audience accordée par Louis XIV à des magistrats, le 7 septembre 1645 (BnF)(国王ルイ14世とマザラン枢機卿が立ち合い、パリ高等法院でパルティセリ・デムリの仕上げた徴税の王令を登録するところ)

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