1649年7月1日〜7月7日

ローラ・マンシーニ嬢の肖像

ノーデ:ロール・マンシーニ嬢はフロンドの乱の直前、1647年の夏の終わりにローマからパリへ呼び寄せられた。

本の行商人ジャック:まだ11歳くらいでしたでしょうか?

ノーデ:当時の印象を王妃様の女官はこう記している。「感じのよい茶色の髪の少女で、見目麗しく、12か13歳くらいに見えた」

ジャック:実際の年齢よりも大人びて見えたのでしょうか。

ノーデ:1636年生まれだから、メルクール公との縁談が持ち上がったときには、13歳だ。

結婚は先延ばしにされる

ジャック:明日にもご成婚となりそうだと、皆が話しておりますが…

ノーデ:実際には1651年まで結婚には至らないはず。

ジャック:あ、出た、ノーデ先生の水晶玉!

ノーデ:しかも、結婚するのは、マザラン枢機卿の亡命先であるドイツ。

ジャック:ひぃ! それじゃ、枢機卿はいずれ亡命なさるのですね?

ノーデ:そのように水晶玉には映っておる。

ジャック:フロンド暦二年目、まだまだこれから波乱の展開が…

ノーデ:天地がひっくり返るような騒ぎよ。

ジャック:それでも人々は生きていく。

ノーデ:歴史の波に翻弄されながらな。

マザランの姪たち

ジャック:ロール・マンシーニ嬢がフランスにやって来たとき、ほかにもふたりの姪と甥が一緒だったとのことですが…

ノーデ:妹のオランプ嬢はまだ9で、茶色い髪、面長で、目は小さいがキラキラしており、いずれ愛嬌のある表情になるだろうと期待されたらしい。

ジャック:このおふたりは枢機卿の下の妹さん、ジローラマさんと、マンチーニ男爵のお子さんですね。

ノーデ:もうひとり、上の妹さん、マルゲリータさんとマルティノッツィ伯爵のお嬢さんアンナ=マリア嬢も一緒に来たのだ。

ジャック:アンナ=マリアさんは10歳でしたか。

ノーデ:それにジローラマさんの息子さん、つまりマザラン枢機卿の甥御くんのポールも。みんなルイ14世と同じくらいの年頃の子供たちなのだ。

ジャック:ちょうどいい遊び相手になる年頃ですね。

マザリネット誕生

ノーデ:じっさい、これらの子どもたちは王妃アンヌ・ドートリシュ様にも手厚く迎えられ、宮殿で生活するようになる。

ジャック:さらにあとからも姪御さんがイタリアから到着します。

ノーデ:彼女ら7人のお嬢さん方は、すぐさまマザリネットと呼ばれるようになる。

ジャック:宮廷内でも特別な存在感をもつようになるのですね。

ノーデ:もちろん、反マザランの誹謗文書の書き手たちが、彼女たちを放っておくわけがない。

ジャック:ですよね…

ロール・マンシーニ(油彩 パブリック・ドメインより)
Les Mazarinettes