マザリネット その2:マザリナードは歌うよ
マザリナードに歌われるマザリネットたちは…
ノーデ:とあるマザリナードはマザランの姪たちをこう歌っている
「あの娘らはフクロウのような目をしている
面の皮は白キャベツの葉っぱみたいにボコボコよ
眉毛は、あれだな、悪魔にとりつかれてるってやつだ
でもって、顔色は煙突かってくらいに黒い」
本の行商人ジャック:ひどい…っていうか、そんなに醜かったのですか?
ノーデ:いや、その反対に、美しかった。
ジャック:では、宮廷では注目を集めたでしょう?
ノーデ:マザラン枢機卿は姪たちに、とある伯爵夫人を養育係としてつける。このお方は以前には国王ルイ14世の養育係だったのだ。そこでまたこんな悪口が言われる。
「枢機卿はローマから育ちの悪い市場の魚売りのような娘っ子を連れて来てさ
その娘っ子らを、王様の家で育てるってわけさ
王族のお姫様方の受けるような教育をもってして
王様の養育係になるという栄誉を与えられたことがあるご夫人のご指導のもとに」
ジャック:なんというひどい言われようだ!
マザラン枢機卿は当時の最もよい教育の機会を姪と甥に与える
ノーデ:じっさいに、最初にフランスに到着した3人の姪は、王宮で国王ルイ14世とその弟と一緒に育てられるのだよ。王妃様は彼女たちを自分の子供と同じようにたいせつに扱った。
ジャック:甥っ子のポール君は?
ノーデ:彼だけはイエズス会の学校、コレージュ・ド・クレルモンに通うことになる。
ジャック:名門ですね。
ノーデ:未来のパリの名門中の名門のリセ、ルイ・ル・グランは、遡るとこのコレージュ・ド・クレルモンだ。
ジャック:立派な教育を受けさせてもらったのですね。
マザリネットたちの嫁ぎ先
ノーデ:これはまだ先の話だが、7人のマザリネットはそれぞれ良いところへ嫁いでいく。
ジャック:ロール・マンシーニ嬢はメルクール公と結婚できるのですね。
ノーデ:その妹のオランプはソワソン伯、マリはイタリアの大貴族コロンナ家の若様と、オルタンスはマザラン公爵、アンヌ=マリはブイヨン公爵とご結婚になる。
ジャック:そうそうたる名家じゃないですか!
ノーデ:枢機卿のもうひとりの妹さんの系統では、アンヌ=マリがコンティ公と、ロールはモデナ=レッジオ公爵のアルフォンソ4世に嫁いでいる。
ジャック:ロールさんを除いては、全部フロンドの乱が終わってからのご成婚ですね。
ノーデ:じつはこの中にルイ14世の初恋の人がいるのだ。
ジャック:?!