1650年1月1日−1月11日

フロンド暦3年 明けましておめでとうございます

ノーデ:明けましておめでとうございます。今年も週刊・フロンド日めくりをがんばっていきたいと思います。

本の行商人ジャック:ほぼ土曜日掲載でまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

Previously あるいはこれまでのいきさつ

ノーデ:とはいえ、すでに今年に入って、2回目の土曜日ではあるよな。

ジャック:なかなか忙しいもので、対談のご準備が整いませず、失礼をいたしました。

ノーデ:今年は昨年(1649年)の年初のように、国王ルイ14世と王妃アンヌ・ドートリシュ様が宮廷を引き連れて深夜にパリを脱出するなどという大きな事件はなくてよかったの。

ジャック:たしかに、あれは大事件。国王御一行が出発なさるや、コンデ親王率いる軍隊がパリを包囲し、兵糧攻めに!

ノーデ:春に和解が成立しても、宮廷がパリに戻られたのは秋になってからだ。

ジャック:おかげさまで、マザリナードの売れ行きは上々!

ノーデ:大きな事件があるとマザリナード文書は一気に増えて、巷にばら撒かれるのだ。

ジャック:わたしら行商人はそれで大儲けをさせていただくのです。

ノーデ:しかし、その反動で、取り締まりも厳しくなったぞ。

ジャック:国王と王妃様がパリにお戻りになる前には大掃除。

ノーデ:一斉取り締まりで捕まった印刷業者もいて、中には死刑を宣告されたものもいる。

ジャック:ああ、「王妃の閨房のとばり」を印刷していた業者ですね。

ノーデ:だが、刑場に押し寄せた民衆に妨害されて、死刑の直前に逃亡することに成功した。

ジャック:結局、死刑になった人は誰もいません。

ノーデ:不思議ですねぇ。

波乱の一年の幕開きはこの1月

ジャック:ところで、今年はどんな展開になる予想ですか?ノーデ先生の水晶玉は何を見せてくれるのでしょう?

ノーデ:ふむふむ(水晶玉をセーム皮でふきふきしながら)、やはりコンデ親王のお姿が現れていますね。

ジャック:前半のフロンドの乱では国王陛下と王妃様をお守りする形で、国王軍を率いて戦われましたが、今年も国内では暴動鎮圧、国外では対ハプスブルグ戦でご活躍になるのでしょうか?

ノーデ:いやいやいや…その反対になりそうですよ。

ジャック:え! どういうことですか?

ノーデ:コンデ親王は宮廷に反旗を翻すことになります。

ジャック:またどうして⁉︎

ノーデ:そのきっかけが、今月、と、出ています。

ジャック:なにが起きるのです⁈

ノーデ:あっと驚くような事件ですよ。マザラン枢機卿のお姿も見えますね。おお、これはなんだ! ヴァンセンヌ城…

ジャック:えええ!

ノーデ:弟のコンティ公、義兄のロングヴィル公爵のお姿も…

ジャック:弟君と義兄の公爵は、最初からフロンド派で、パリ高等法院の側につき、宮廷とは敵対していましたよね?

ノーデ:そうなのですが、コンデ親王と三人でヴァンセンヌ城に入っていかれます。

ジャック:ヴァンセンヌ城といえば、ボーフォール公爵が幽閉されていた牢獄じゃないですか…。なんでまた御三方がそろいもそろって、そんな場所に?

ノーデ:これは一大事の前触れ。ジャック、印刷業者に紙とインクを用意するように言っておきなさい。

ジャック:去年のパリ高等法院と宮廷の和解で内乱はおさまるかと思いましたが、どうやらそうはいかないようですね。

ノーデ:フロンドの乱シーズン2の始まりですよ。

ジャック:それではみなさま、今年もひきつづき、週刊・フロンド日めくりをお楽しみください!

フロンドの乱 シーズン2