なんでこうなった⁉︎ 1649年後半の出来事三つ
敵はルーアンにあり?
本の行商人ジャック:国王陛下は、本日2月1日、王母様とルーアンへお立ちになりました。
ノーデ:ロングヴィル公爵夫人は、逮捕された夫のお膝元であるルーアンを蜂起させようと必死だからな。
ジャック:とはいえ、ルーアンの町も、ルーアンの高等法院もあまり乗り気ではないようです。
ノーデ:そうだろうとも。巻き込まれたら、とんでもないことになる。
ジャック:ルーアンからマザラン枢機卿に恭順を示す代表団が送られてきてます。
ノーデ:コンデ家のお姫様、ロングヴィル夫人はさぞ地団駄踏むであろう。
ジャック:国王陛下御一行のルーアン着は2月3日の予定です。
ノーデ:ふむ、節分か…
ジャック:あ、いや、ノーデ先生、フランスに豆まきはありません(またバグってしまわれたか)
ノーデ:それは残念…鬼のお面とか、いい感じの行事なのにな。
ジャック:それは極東の平たい顔の人々の国の風習です。そもそもフランスには鬼はいません。人食い鬼(オーグル)ならいますが…
宮廷に一線を越えさせた 1649年後半の出来事三つ
ノーデ:ところで、コンデ親王と弟のコンティ公、義兄のロングヴィル公爵の逮捕のあと、フロンド派までもが王妃様のもとへ押し寄せ、忠誠を誓うなどしたそうだが…
ジャック:そうそう、フランケンうさぎの花ちゃんの報告ではそうありましたね。
ノーデ:どうしてそこまでコンデさんが嫌われるかというと、じつは昨年パリを兵糧攻めにしたことだけが理由ではない。
ジャック:1649年は秋からいろいろありましたからね。
ノーデ:まず、マダム・ド・ポンスのお腰掛け特権事件。
ジャック:昨年、1649年の10月21-26日号をご参照ください。
ノーデ:その2、コンデ親王取り巻き男子の失態。
ジャック:あぁ、ちょっとアタオカで何をしでかすかわからないところのあるタルジェ男爵!
ノーデ:チュイルリー宮のレストランでボーフォール公一派と乱闘を起こし、こともあろうにアンヌ王妃の寝室に恋文を置くなどした。
ジャック:それで王妃様の逆鱗に触れました。
ノーデ:その3、とどめはコンデ親王がポンス夫人の再婚に手を貸したことだ。
ジャック:12才年下のリシュリュー公爵との秘密結婚をお膳立てしたんでしたね。
ノーデ:これには政治的背景の説明が必要。
ここでふたたび妖艶なマダム・ド・ポンス登場
ジャック:リシュリュー公爵は若いけれど、ル・アーヴル総督という地位にありまして…
ノーデ:ル・アーヴルはフランス北西部、ノルマンディー地方の大西洋岸に面した大きな港町ですね。
ジャック:軍事的にも重要で、以前からロングヴィル公爵が掌握したいと切望していたところです。
ノーデ:ロングヴィル夫人とごく親しいポンス夫人がリシュリュー公爵と結婚すれば…
ジャック:この港町を支配下における!
ノーデ:と、考えたわけだな。
ジャック:だが、ここで問題が…
ノーデ:リシュリュー公の叔母、エギュイヨン公爵夫人の存在だ。
ジャック:この叔母さんは若い公爵の後見人であるだけでなく、以前にマザラン枢機卿に助けられた恩義があります。当然、公爵を引き止める。猛反対のキャンペーンですよ!
ノーデ:そこで、コンデさんが人肌脱ぎ、若い公爵の恋を成就させてあげましょうと。
ジャック:クリスマス前夜にポンス夫人と駆け落ちさせ、秘密結婚できるよう準備万端取り仕切ってさしあげた。なかなか粋な計らいではありませんか!
ノーデ:だが、宮廷側はそうは受け取らない。そもそも貴族の結婚には王様の許可がいるはずなのだ。制度的にもこれはコンデさんの造反で、いくら王族がしたこととはいえ、見過ごすことはできない。
ジャック:コンデさんの側にも、こうして宮廷に一泡吹かせたくなるような何かがあったんじゃないでしょうかね?
ノーデ:それが大ありさね。
ジャック:それは来週のお楽しみ?
ノーデ:どうぞ次の日めくりを楽しみにお待ちください!