1650年6月1日―6月7日

市民に半殺しにされかけた宮廷側の使者の運命は?

本の行商人ジャック:コンデ夫人とご子息の到着を見張っていたかのように、宮廷側から送られてきた使者。

ノーデ:だが、市民によって半殺しにされかけてしまった。さあ、こまったぞ、ボルドー高等法院。

ジャック:そこで悩みに悩んだボルドー高等法院は…

ノーデ:なんなのだ?

ジャック:コンデ夫人に助言を求めた。

ノーデ:なんでまた⁉︎

ジャック:と思うでしょう? だけどまぁ、そこはがまんして聞いてください。

ノーデ:夫人はどんな助言を与えたのだ?

ジャック:その前に夫人は密かに味方の大貴族たちとコンタクトをとって、彼らの意見を聞きます。しかし、彼らの意見もまっぷたつに割れた。

ノーデ:ははぁん。しかし、聞くまでもなかろう、ブイヨン公爵やラ・ロシュフーコー公爵の意見は「殺す」一択。

ジャック:しかし、ご家老のレネさんは反対です。

ノーデ:それで、どっちになったのだ?

ジャック:この助言が、結局、夫人の運命にもかかわることになるのですよ。

ノーデ:いいから、早く!

ジャック:では、来週!

ノーデ:まだ今週の日めくりは始まったばかりだ、ジャック。いいから、早く言え!宮廷から送られてきた使者をどうすべきか、助言を求められたコンデ夫人はなんと答えたのだ?

ジャック:助命です。

ノーデ:なんと…

ボルドー高等法院を手球にとるコンデ夫人⁉︎

ジャック:それだけではありません。ボルドー高等法院の意見を使者の助命でまとめあげたコンデ夫人は、幼い息子をともなって、ふたたび大法官たちの前に進み出ます。そこで夫人は、あらためて正式にボルドー市の保護を求めました。

ノーデ:しかしなぁ、高等法院はそう簡単には承知しないだろう。宮廷を敵に回すことになりかねないわけだし。

ジャック:実際、なかなかうんとは言わなかったみたいです。

ノーデ:そうだろうとも。自ら時限爆弾を抱え込むことになるようなものだぞ。

ジャック:でも、最終的には召使いとともにボルドーに居住することを許可されるのです。ただし、条件がある。「国王の良き臣下として暮らすこと」と、しっかり釘を刺されてはいますがね。

ノーデ:さて、そうなると、対岸にいるコンデ派大貴族たちはどうするのだ。ずっとそこに留まっているわけにもいくまい。

ジャック:高等法院は大貴族たちが町に入ることには断固反対です。弱い夫人と幼い息子を保護したところまでは、宮廷に申し開きもできます。だが、ブイヨン公爵たちはお尋ねものですよ。

ノーで:国家反逆罪に問われているような人物なのだからな、絶対に町に入れてはいかん。

ジャック:しかし、それも翌日には崩れるのです。

ノーデ:なんと⁉︎

ジャック:ここでもコンデ夫人はアンギャン公に好意的な民衆を利用します。ブイヨン公爵とラ・ロシュフーコー公爵のふたりは、奥方様に面会するという口実でやってきて、そのまま居座ってしまったのです。

ノーデ:なんと!ボルドー高等法院の皆さん、さぞかしお困りだろう。心臓に悪いことこのうえない展開になってきたな。

ジャック:そりゃあもう…

ノーデ: いやはや、ボルドー夏の陣、準備が整ってきたようだ。

ジャック:しかし、宮廷もこのまま指をくわえてみているはずがありませんよね?

ノーデ:たしかに、そうなのだが…。しかし、すぐにボルドーには対処できない。じつは別の脅威が北に迫っているのだ、ジャック。

ジャック:いったい何が?

ノーで:スペインが動き出しそうな気配なのだ。

ジャック:おっと、それは前門の狼後門の虎…

カイヨ門(Porte Cailhau)

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