ボルドーからアンボワーズ城へ
パリへ直行する前に?
ノーデ:宮廷は15日にボルドーを出発する。
本の行商人ジャック:さっそくパリへお戻りになるので?
ノーデ:う〜ん。まだだな。
ジャック:なんでまた? パリではまたフロンド派が勢いを増しているようではありませんか?
ノーデ:今回のボルドー遠征を総括すると、マザラン枢機卿としては完全勝利とはいえない。のだ。
ジャック:おや…
ノーデ:せっかくここまできたのだから、ついでにやっておくべきことが…
ジャック:あ、わかった!ありていに言えば資金調達ですね。
ノーデ:それもあるのだが、地方において王の権威を示しておく必要がある。
ジャック:たーしかにー。かなり弱いことがわかってしまいましたからね。
ノーデ:ノルマンディーやブルゴーニュでは、しかし、それなりにしめしをつけることができたのだぞ。
ジャック:だが、ギュイエンヌ地方では…この中途半端な勝利感。
移動する宮廷
ノーデ:枢機卿はラングドックからプロヴァンス地方への巡回を考えている。
ジャック:ラングドックといえば、トゥルーズの高等法院は8月にパリ高等法院との連帯を表明しています。
ノーデ:トゥルーズでも、フロンド暦元年つまり1648年の、何人も裁判なしに身柄を拘束されないという合意を守り、コンデ親王らは即刻、釈放されるべきなのだという意見だ。
ジャック:今のところ、それは実現していません。また、実現する気配もありません。
ノーデ:枢機卿は、ラングドックの地方三部会を招集し、王税の徴収をさせることも考えておられる。
ジャック:そうだった! ラングドックの地方三部会を招集すれば、あそこで独自に王税を徴収することができる。枢機卿はやはり、計算高い。抜け目がない。それで、いくらぐらい徴収しようと考えているんです?
ノーデ:50万エキュ。
ジャック:そりゃ、国庫も潤いますな。(小声で)焼石に水かもしれませんが…
ノーデ:だが、パリにいるムッシューが反対しているのだ。
ジャック:あ、それじゃ、この計画はボツだな。ムッシューが反対したら、ムリ。絶対、ムリ。
ノーデ:とりあえず、15日にボルドーを出発て、アンボワーズ城に向かうことになった。
ジャック:それなら、やはり方角的にはパリということですね。
