1650年11月10日―11月16日

フロンド派がコンデ派に接近⁉︎

ノーデ:宮廷はいよいよパリへ戻ってきたぞ。

本の行商人ジャック:やっと、ですね。

ノーデ:留守にしている間に、いろいろな変化があったようだ。

ジャック:それにしても、王妃様のやつれようは、誰の目にもあきらかです。おいたわしや。

ノーデ:ご体調が回復していないのだ。

ジャック:その王妃様にご挨拶しようと、ご到着の夜にフロンド派がパレ・ロワイヤルにおしかけます。

ノーデ:またご負担になるな。

ジャック:これから数日間はセレブリティーの儀礼的な訪問が続きますね。

ノーデ:現代風にいえば、これは「ご公務」の遂行にあたる。摂政というお立場上、寝ているわけにはいかない。

ジャック:国の統治は体力勝負ってとこ、ありますよね。

ノーデ:しかも、留守の間に、フロンド派がコンデ派に接近するなどして、どうもあやしげな雰囲気のパリ…

ジャック:ここでふたつのフロンドが融合したといわれる所以ですね。

ノーデ:前半のパリ高等法院のフロンドと後半の大貴族たちのフロンドの融合。これからはより複雑な政治状況になるぞ。

ジャック:それにつれて宮廷内の勢力地図も、微妙に変化しそうですね。

鍵はオルレアン公か?

ノーデ:注目されるのはムッシューと呼ばれているオルレアン公だ。

ジャック:あらためてご紹介すると、先王ルイ13世の弟でルイ14世の叔父さん、ガストン・ドルレアンですね。

ノーデ:今のところ王妃様に忠実のようだが、先王の時代には反リシュリューでいろいろな陰謀に加担してきた人だということを忘れない方がいい。

ジャック:先王の宰相だったリシュリュー枢機卿も「処刑人」と呼ばれるくらい、王権の強化に熱心で、そのために反感を買っていましたからね。

ノーデ:ムッシューにはまた不満分子に担ぎあげられる可能性があるということだ。

ジャック:パリ高等法院フロンド派、それにコンデ擁護の貴族たちのフロンド派がムッシューに接近しているようですしね。

ノーデ:両者を結びつけるのが反マザランというわけだ。

ジャック:宮廷内でムッシューを味方につけることができれば、政治的発言力が強まりますね。

ノーデ:ムッシューとマザラン枢機卿、この両者の関係がどうなるのか、当分、このふたりから目を離せないぞ。


投稿日