1651年4月5日―4月11日

シュヴルーズ夫人の娘とコンティ公の結婚が取り消しになる

本の行商人ジャック:宮廷には、今、いくつもの勢力がありますね。

ノーデ:とりあえずは、反マザランで意見が一致しているとはいえ、いつまでもつか。

ジャック:王妃様が摂政の地位にとどまることになったので、マザラン枢機卿をこの先も遠ざけておくには、王妃様のお心をつかまなければならない。シャトーヌフさんは、今、それで必死。

ノーデ:しかし、王妃様のお心は決まっている。ただひたすら枢機卿を取り戻したいということなのだ。

ジャック:王妃様は、じっさい、パラティーヌ公女を通じコンデ親王との関係を改善しようと働きかけておられます。有体にいうと、懐柔策に出た。

ノーデ:だが、あまり表立って動くと、今度はフロンド派と宮廷の仲介役になっているムッシューすなわちオルレアン公のご機嫌を損ねかねない。

ジャック:そういえば、フロンド派は、シュヴルーズ夫人の娘さんとコンデ家の末っ子コンティ公の婚姻によって、コンデ派と同盟を結ぼうとしていました。あれはどうなりましたか?

ノーデ:ああ、それなら、さっき聞いたところでは、取りやめになりそうだ。

反マザラン派の分裂

ジャック:この縁談、コンデ家の長女であるロングヴィル夫人とラ・ロシュフーコーさんが最初から難色を示していましたものねぇ。

ノーデ:それにあの娘さんはゴンディ、つまりレ枢機卿の愛人というではないか。コンデ親王が首を縦に振るとはとうてい思えないね。

ジャック:コンデ家としては賢明な判断なのでしょう。でも、当のコンティ公はすっかりその気だったようですよ。シュヴルーズ嬢のお人柄をえらく気に入ってしまったご様子で。教皇様から結婚の許しが出るのを待ちきれず、シュヴルーズ邸に足繁く通い、大きなダイヤモンドまでプレゼントしたそうです。

ノーデ:コンティ公の純情、というところだろうか…

ジャック:それだけじゃありませんや。反対が多いのはわかっておられたから、聞くところによると、それをクリアする内容の結婚契約書まで準備していたそうです。

ノーデ:コンティ公はたしかにおつむが少々、その、なんというか、弱い。だが、不思議とそういうことには頭の回転が速くなるようだな。姉のロングヴィル夫人が心配するわけさ。

ジャック:ラ・ロシュフーコーさんにとっては、フロンド派がコンデ親王に近づくのを最初から警戒していましたからね。

ノーデ:コンデ親王は王族。しかも王位継承権も有する血のプランスだ。王権に楯突く有象無象とは組めぬ、ということなのだろう。

ジャック:これでフロンド派とコンデ派が合流するという目はなくなりましたか?

ノーデ:未来永劫あるまいよ。

ジャック:ところで、マザラン枢機卿は、今どこに?

ノーデ:ブリュールに到着なさったそうだ。

ジャック:ケルンとボンの中間くらいの町ですね。

ノーデ:さぁ、ここからが本番だぞ、ジャック。

Tampon ovale en noir, en bas de l’image, à droite : “BIBLIOTHEQUE DE NANCY”. Au verso, à l’encre noire, tampon circulaire : “BIBLIOTHEQUE PUBLIQUE NANCY / FONDS THIERY-SOLET”
Armand de Bourbon-Conti, prince de Conti