サン=モールにもうひとつの宮廷現る そこでは毎日が舞踏会に狩りにお芝居だとか
サン=モールにもうひとつの宮廷現る そこでは毎日が舞踏会に狩りにお芝居だとか?
本の行商人ジャック:ノーデ先生、サン=モールのお城に引っ込んだコンデさんですが…
ノーデ:どうした、ジャック?
ジャック:いやぁ、王妃様からの使者をことごとく追い返しておられるようです。強気。
ノーデ:とりつく島もないというところか…
ジャック:それでね、あちらにもうひとつ、別の宮廷ができたような騒ぎなんですよ。
ノーデ:つまり?
ジャック:なんでも奥方様も、弟のコンティ公も、姉上のロングヴィル公爵夫人もサン=モールにお集まりで、訪れる人もパリの宮廷に劣らぬ数だとのこと。
ノーデ:賑わっているのだな。
ジャック:そこではありとあらゆる気晴らしが用意されており、政治的な目的の会合ばかりでなく、舞踏会やお芝居やら賭け事やらも提供されているというのです。
ノーデ:それじゃ、人は集まってくるわな。
ジャック:そんなんで、どうやら得体の知れない有象無象が続々と集まってくるらしいです。
ノーデ:数がいても、そういう輩はいざという時、てんで当てにならん。すぐ寝返るし、裏切るからな。
ジャック:ですよね!
ノーデ:しかし、ジャックよ、そんな話をどこで聞いてきたのだ。
ジャック:一応、オイラもジャーナリスト未満、17世紀印刷メディアの端くれですからね、えっへん。それなりの情報網があるわけですよ。
ノーデ:どうせまた、ラ・ロシュフーコーさんのところの台所に入りこんで聞いたのだろう?
ジャック:お、さすがノーデ先生。あたりです!
内戦になるの?
ノーデ:それにしてもラ・ロシュフーコーさんはこの状態をどう思っておられるのだろうか?
ジャック:そこなんですよ。こんなに人ばっかり集まっても役には立たないですよね。有象無象ばかりなんですから。
ノーデ:しかし、サン=モールにそれだけ人が集まっているとなるという噂がひろまれば、王妃様は軍隊を動かして攻めにくくなる。
ジャック:それで、どうなんでしょう、ノーデ先生?
ノーデ:何が?
ジャック:コンデ親王は本気で宮廷に反旗をひるがえすおつもりなのですか?
ノーデ:それはまだわからんな。
ジャック:ラ・ロシュフーコーさんや他のコンデ派の人たちは、また戦争したいとは思っていないみたいなんですよね。
ノーデ:冷静に考えれば、内戦は避けたいところ。だが、先行きはとんと見えない。
ジャック:近々、コンデ親王は奥方様とご子息をモンロンの砦に向かわせるという話も聞きましたよ。万一を考えて、砦の守りも強化なさるとか。
ノーデ:これからはいろいろな噂が乱れ飛ぶことになろうな。
ジャック:そうなるとオイラ、街を売り歩く本の行商人も、商売繁盛ってことですよ!

