ゴンディ協働司教、のちのレ枢機卿の災難 ラ・ロシュフーコー公爵に殺されそうになる⁈
ゴンディ協働司教暗殺計画はあったのか?
本の行商人ジャック:ノーデ先生、大変です! 聞きましたか、パリ高等法院での事件?
ノーデ:もちろんさ、噂はすごい勢いで広まっている。
ジャック:ラ・ロシュフーコーさんは本気でゴンディ協働司教を殺そうとなさったのですかね?
ノーデ:両者の言い分にはだいぶ食い違いがあるようだ。
ジャック:そもそも両者は犬猿の仲。
ノーデ:王妃様との密約で枢機卿の帽子が手の届くところに見えてきているのだ。ゴンディ協働司教の弁舌にも力が入ろうというものだろう。
ジャック:パリ高等法院とフロンド派も背後にいることだし、もはや情け容赦なくコンデ派を攻撃しています。だが、その一方で、コンデ派からいつ命を狙われるかもしれないと怯えてもいる。
ノーデ:自分で蒔いた種だがな。
ジャック:なんでも王妃様に王室の護衛を自分につけてくれと頼み込んだそうじゃないですか。
ノーデ:王妃様はその頼みをききいれるだろうが、そんなことをしたら、ますます協働司教は自分が大物になったみたいな気になるのだろうな。
ジャック:自分には王室の後ろ盾があるんだぞと誇示したいのですよ。
ノーデ:コンデ派の反感がどんどんゴンディ協働司教に向くようになるだろうな。
ジャック:王妃様、もしかして影でそれを煽っているのでは?
ノーデ:王妃様は、じつは協働司教もコンデ親王もお嫌いだから、いっそ互いに潰しあってくれればいいというように思っておられるのかもしれないな。両者が険悪になればなるほど、王妃様は漁夫の利を得られるというものさ。
ジャック:そこへ、あの事件ですね。
扉に首を挟まれるゴンディ協働司教
ノーデ:ここで事件のあらましを少しまとめてみよう。
ジャック:まず、日時ですが、8月21日。場所はパリ高等法院。
ノーデ:ゴンディ協働司教が護衛の兵士を下がらせようとしたその時だ。
ジャック:ひとりの男が銃の先端に装備するような短剣を手に現れ、協働司教を襲おうとしたと、同時代人のひとりはあとから書いています。
ノーデ:この事件、いろんなバージョンがあってな。それはひとまずおくとして、どうやらこの男、しばしばコンデ親王の館に出入りしているのを見られていたようだ。
ジャック:その場にいたカニヤック侯爵が咄嗟に止めなければ、協働司教の御命は危なかったということですよね。
ノーデ:この侯爵もコンデ派なのだが、止めに入ったのだな。
ジャック:協働司教は動揺し、会議場から退出しようとした。だが、そこでさらに別の恐怖が待っていた!
ノーデ:おり悪しく、扉のところにはラ・ロシュフーコーさんがいて、コンデ親王のご友人たちを外へ出そうとしていたのだ。
ジャック:その両開きの重い扉にゴンディ協働司教は首を挟まれることになったと…
ノーデ:この事件は目撃者も多いのだが、立場によって証言が異なるのだ(つづく)

