どっちにしろ、もはや後には引けぬコンデ親王 宮廷との対立は長期化
国王にNONが言えるのはコンデ家の代々の当主だけ
本の行商人ジャック:コンデ親王はギュイエンヌに向けてご出発になりましたね。
ノーデ:これは長期化が避けられない雰囲気。
ジャック:まあ、宮廷と対立するのはお家芸のようなところがありますからね。
ノーデ:父のコンデ公アンリ2世の時代にもいろいろあったからな。
ジャック:まず、コンデ親王の母上が若かりし頃、王妃様にお仕えするために宮廷に出仕するや否や、国王アンリ4世が年甲斐もなく一目惚れ…。まだ14歳ですよ。
ノーデ:当時としては年齢は問題にはならない。とはいえ、未婚の女性を愛妾にするわけにもいかないので、アンリ4世は彼女を筆頭親王家のコンデ公(父)と結婚させることにした。
ジャック:ところが、コンデ父はこの美少女、シャルロット=マルグリット・ド・モンモランシーを連れて遁走。
ノーデ:あろうことか、フランスの宿敵スペインの支配するオランダへ庇護を求めて逃げ出したのだ。
ジャック:大胆ですよね!
ノーデ:そこは国王にNonが言えるコンデ家の当主。
ジャック:ほどなくアンリ4世も暗殺されていなくなってしまいます。そうなれば、大手を振ってパリへ戻れるわけだ。しかし、そこで待っていたのはヴァンセンヌ投獄ですね。
ノーデ:宮廷はルイ13世の時代になり、王母マリー・ド・メディシスの寵臣コンチーニ、またの名をアンクル元帥が牽制を振るっている。というから、好き勝手やり放題。
ジャック:コンデ父はアンクル元帥と真っ向から対立。王母様の不興を買います。
ノーデ:アンクル元帥を倒すための陰謀にかかわったとして逮捕・投獄。
ジャック:この二人の間の第一子であるロングヴィル公爵夫人は、ヴァンセンヌに両親が投獄されている間に生まれたのでしたね。
ノーデ:ロングヴィル公爵夫人の筋金入りの反骨精神はヴァンセンヌで生まれたからかもしれぬ。
どっちにしろ、もはや後には引けぬコンデ親王
ジャック:いずれにしても、このご一家は国王に対して一歩も引かないですね。
ノーデ:こうして見ると、フロンドの乱の後半はロイヤル・ファミリー内の揉め事という側面も無視できないな。
ジャック:コンデ父は徹底して長男には帝王学を施し鍛えたと聞きますが、やはり、王位につく可能性というのがいつも頭の隅にあったのでしょうかね。
ノーデ:何しろ筆頭親王家で、王位継承権があるのだ。いつなんどき王国を率いて立つ身にならないともかぎらないと考えていたのだろう。
ジャック:コンデ家はその意味で別格ですね。
ノーデ:この度、コンデ親王はギュイエンヌ地方へ移動された。ここからどう動くのか…
ジャック:ノーデ先生の予想ではどうなるのですか?
ノーデ:宮廷はこのままコンデ親王を放っておくわけにはいくまい。
ジャック:では、反逆罪ということに?
ノーデ:いずれにせよ、早々に反コンデの宣言が出されるだろう。
ジャック:パリ高等法院はどう動きますかね。
ノーデ:中で意見は割れるだろうが、前半のフロンドの乱で疲弊しているので、宮廷の機嫌は損ねたくない。
ジャック:じゃあ、やっぱり反コンデを表明するのでしょうか。
ノーデ:そうすると、コンデ親王としては宿敵スペインを頼りにするほかないかもしれぬな。
ジャック:外国の軍隊と組んだら、もう完全に反逆ですし、内戦になってしまいますよ。
ノーデ:多少のダメージは想定内というのが、支配するものの考え方だ。
ジャック:支払わされるのはいつもわれわれ民衆ですよ。ノーデ:ゴキブリには同情するが、兵士や生活を奪われる民には寄り添う心も持たない。心を寄せたら、目的も達成できない…と考えるのが、古今東西、支配者の理屈というものだ。


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