1649年5月27日〜6月2日

宮廷のなかの嵐

ノーデ:王妃様はまだパリにお戻りになる気配はない…

本の行商人ジャック:パリが王権に従順であることを十分にしめさないかぎり、お戻りにはならないでしょう…

ノーデ:シャトレの旦那たちがマザリナードの摘発にやっきになっておるな。

ジャック:それで、宮廷のようすはどんなですか?

ノーデ:それが、ちょっとあやしい雲行き。

ジャック:いったい、どうしたんです?

怒れるコンデ親王vsマザラン

ノーデ:じつは枢機卿の姪のご縁談が、コンデ親王の逆鱗に触れたようなのだ。

ジャック:枢機卿にはローマから呼び寄せた姪ごさんが複数いましたね。どなたのご縁談で?

ノーデ:ロール・マンシーニ嬢だよ。

ジャック:それでお相手はどなたです?

ノーデ:アンリ4世の孫にあたるメルクール公爵だ。

ジャック:あ、ちょっと整理が必要ですね。メルクール公爵というのは、アンリ4世と愛妾ガブリエル・デストレとの間に生まれたセザール・ド・ヴァンドームさんのお子さんですね。

ノーデ:そして、ボーフォール公にとっては兄。

ジャック:ボーフォールさんといえば、フロンドの乱が始まるやいえや、幽閉されていたヴァンセンヌ城を脱獄しパリに駆けつけた、庶民の人気の「市場の王」!

ノーデ:といっても、性格は兄弟で異なるようだ。

コンデ親王は目の上のたんこぶになりつつある?

ジャック:この縁談がどうしてコンデ親王の逆鱗に触れるのです?

ノーデ:庶子の系統とはいえ、メルクール公爵の身分からすれば、婚姻には王族の承諾が必要。なのに、自分になんのことわりもなく、枢機卿が勝手に縁組を決めた、ということだな。

ジャック:ひぇ〜!

ノーデ:コンデ親王がそれをけしからんとヘソを曲げるのももっともなことなのだ。コンデ家は筆頭親王家で、王位継承権を有する立場なのだから。

ジャック:あの人の気位はその身分にふさわしく、天に届くほど高いですからね。

ノーデ:対スペイン戦争でフランスに歴史的な勝利をもたらした英雄、しかも、年初来のパリ包囲戦も、コンデ親王がいればこそ宮廷は勝てた。いやがうえにも宮廷での存在感が増している。

ジャック:なにか問題でも?

ノーデ:つづきは来週!

「週刊・フロンド日めくり」のノーデと本の行商人ジャックの会話の内容は史実に基づいておりますが、架空の会話です。そのようなものとしてお楽しみいただければ幸いです。短いテクストに収めるために、日付などを省略していることもあります。正確な日付は「年表」をご参照ください。

コンピエーニュ市庁舎 (パリへ戻らぬ宮廷はこの時期コンピエーニュに滞在していました)
コンピエーニュ市庁舎の解説