1650年1月12日−1月18日

コンデ親王含む3人の大貴族が逮捕された!

本の行商人ジャック:ノーデ先生、たいへんです!

ノーデ:なにを慌てているのだ、ジャック?

ジャック:コンデ親王が逮捕されました!

ノーデ:ついに!

ジャック:さきほど、宮廷潜入調査員、フランケンうさぎの花ちゃんから知らせが!

ノーデ:最近、登場することがなかったフランケンうさぎに花ちゃんから!

ジャック:先週のノーデ先生の水晶玉の答え合わせのような事件です。

ノーデ:今朝、コンデ親王は宮廷にお出ましになったはず。

ジャック:はい、夕方になってからもう一度、コンデさんは宮殿にあがりました。顧問会議の予定があったからです。

ノーデ:マザラン枢機卿も出席する予定であったはず。

ジャック:ええ、コンデさんは枢機卿とお会いになり、かなり長いことラ・リヴィエールさんへの文句を述べられていたようです。

ノーデ:いつもと変わりない午後。

いつもと変わらぬ顧問会議のはずだった…

ジャック:コンデさんに続いて、義兄のロングヴィル公爵、そして、最近、顧問会議への参加を許された弟のコンティ公が到着されました。

ノーデ:まったく警戒していなかったようだな。

ジャック:でも、周囲のものは、このところなんとなく不穏な空気を感じられて、3人揃って宮廷に赴くのは危ないと忠告されていたようです。

ノーデ:ついこのあいだも、コンデさんを狙ったテロが計画されていたことだしな。

ジャック:この日、王妃様は体調不良を訴えられて、伏せっておられたのですが、コンデ公の母君は王妃様に付き添っておられたんですね。そして昼食にもどってきた息子に、どうもいやな予感がするとおっしゃった。

ノーデ:ラ・ロシュフーコーさんも、同様の懸念を抱いていたような。

ジャック:しかし、王族は国王にお支えするものと刷り込まれているコンデ親王は疑いもせず、そうした周囲の心配を一笑に伏して、午後、ふたたび顧問会議に向かわれたのです。

ノーデ:そこで一網打尽に…

ジャック:はい。御三方がそろわれたところで、マザラン枢機卿が王妃様に、準備はすべて整いましたから、どうぞお出ましくださいとお知らせになりました。すると、小さいルイ14世が、「ママンが皆さんに回廊の間にお移りくださいといっています」と伝えにきます。

ノーデ:この移動はいつもふつうにやっていることだが…

ジャック:いつもと違ったのは、移動の途中で、マザラン枢機卿が姿を消したことですね。

ノーデ:そして回廊の間に入ったところで、王妃様の警備隊長が待ち構え、粛々と、かつ最大限の敬意を払いつつ、身柄を拘束すると告げたのだな。

各方、王妃は私を逮捕させるそうだよ。弟くん、そしてロングヴィル公爵、あなた方もいっしょだ

ジャック:もちろん、コンデ親王は黙ってされるがままにはなっていません。「この私を逮捕するだと!」と、驚き、すぐさま王妃様のもとへ行って、お話があると言っていると伝えよとお命じに。

ノーデ:そりゃ無理だな。

ジャック:コンデ親王は警備隊長としばらく言葉を交わしたのち、弟君と義兄の方を向いて「各方、王妃は私を逮捕させるそうだよ。弟くん、そしてロングヴィル公爵、あなた方もいっしょだ」とおっしゃり…

ノーデ:それだけではすむまい。

ジャック:ええ、もちろん。「私はこれまでずっと王様に仕えてきたというのに、この私を逮捕するとは、なーんたる驚き」と。

ノーデ:対ハプスブルグ戦では、何度も王国はコンデ親王に救われてきたというのにな…

ジャック:そうおっしゃったあとに、そこにいた大臣のひとり、国璽尚書を王妃様の元におつかわしになりました。

ノーデ:大臣は戻ってこなかったろう?

ジャック:そのとおり。結局、コンデ親王は逮捕を受け入れ、「しかたあるまい、では、参ろうか」と平然と言い放って、ヴァンセンヌの森へ連れていかれたそうです。

ノーデ:たいへんなことになったぞ、これは!

ジャック:直後から、宮廷の貴族たちは蜂の巣をつついたような騒ぎになりましたよ!

ノーデ:そのあたりはフランケンうさぎの花ちゃんの続報が待たれるな!

コンティ公 Armand de Bourbon-Conti, prince de Conti
ロングヴィル公爵