1651年3月1日―3月7日

ポスト・マザラン 摂政交代?

本の行商人ジャック:コンデ親王がお戻りになられて、高等法院のフロンド派、というか反マザラン派はますます過激になってきています。

ノーデ:今週は国務顧問会議からすべての枢機卿を排除するという裁決があったな。

ジャック:マザラン枢機卿に的を絞った告発が次々ですよ。

ノーデ:枢機卿を排除するなんて、枢機卿の帽子を狙っているゴンディ協働司教にとっては藪蛇の気もするが…

ジャック:それで、王妃様はどうしていらっしゃるのでしょう…

ノーデ:王妃様が摂政を続けられるかどうかという問題かな?

ジャック:王妃様はまだ摂政を続けられるのでしょうか…

ノーデ:多くの人が、王妃に権力を持たせたのは、オルレアン公とコンデ親王の不覚であったと考えている。

ジャック:それじゃぁ、高等法院の裁決でオルレアン公が摂政になる?

ノーデ:たしかに、そういう意見もあるのだが…

ジャック:おや、そうはならないような雰囲気?

ノーデ:ご本人は不本意のようなのだが、オルレアン公は実質的にフロンド派の手のうちにある。それが穏健派にとっては不安要素なのだ。

ジャック:たしかに、それではフロンド派が実権を握ることになりますからね。

ノーデ:それは避けたいと、皆、内心では思っているはず。

コンデ親王は論功行賞で手一杯

ジャック:じゃ、結局、現状維持?

ノーデ:そう、王妃様はこれまでどおり摂政としてのこり、権限を維持する。

ジャック:それじゃ、マザラン枢機卿が抜けただけじゃないですか?

ノーデ:そうなるかな。

ジャック:しかし、いいんですか? 王妃様はなんとしてでも枢機卿を呼び戻そうとのお考えですよ。

ノーデ:ふむ。王妃様は目下、パラティーヌ公女を介して、コンデ親王にあらゆる優遇を与えている。それもゆくゆくはマザラン枢機卿を呼び戻したいからで、懐柔策なのだよ。

ジャック:もしマザラン枢機卿が戻ってくることになったら、ラ・ロシュフーコー公爵などは、ここで判断を誤ったと後悔するでしょうね?

ノーデ:たしかなことは、王妃様は枢機卿を取り戻すためなら、なんでも利用するだろうということだ。

ジャック:それで、コンデ親王ご自身はどのようにお考えなので?

ノーデ:そこなのだよ、ジャック。殿下は、今、解放された喜びにひたっておられる。マザラン枢機卿がいなくなったあとの国政をどうしたいかなどというお考えは、そもそもお持ちでないようだ。

ジャック:ポスト・マザランのヴィジョンがない? それは後々困ったことになりそうな、嫌な予感…

ノーデ:むしろ、コンデ親王は、これまで釈放に尽力してくれた友人に報いたい、良い地位を与えてやりたいというお気持ちでいっぱいなのだ。

ジャック:いわゆる論功行賞。

ノーデ:お気持ちはわからないではない。

ジャック:当然のこととして、ブイヨン公爵やテュレンヌ元帥などは優遇されるのでしょうな?

ノーデ:かならずしもそうとはいえないみたいだ。全員を満足させるなど、どだい無理な話よ。

ジャック:すると、不満をもった有力な貴族が寝返る可能性もあるわけですね。

ノーデ:不満をもって離反する貴族が出れば、それは王妃様にとって好都合。自分の陣営に引き入れるまたとないチャンスが転がりこんでくるというわけだ。

ジャック:さて、誰がコンデ親王と袂を分つか…

ノーデ:一方でコンデ家のご長女様、ロングヴィル公爵夫人が退避先のステネからパリに向けて出発なさるそうだ。パリにてラ・ロシュフーコーさんと合流するのは来週末あたりか…

ジャック:いよいよ目が離せなくなってきましたね。

ノーデ:役者がそろいつつあるな。

ジャック:愛と裏切りのフロンド、シーズン2。山場はこれからですよ!

マザランの彫像、フランス学士院にあるマザラン枢機卿の墓の彫刻(当プロジェクト撮影)

投稿日