1651年4月26日―5月2日

王は踊る

本の行商人ジャック:今日、5月2日はパレ・ロワイヤルにて新しいバレエが発表されますね。

ノーデ:そうだった!

ジャック:王様が踊るんですって?

ノーデ:題して「レ・フェット・ドゥ・バッキュス」Les fêtes de Baccus

ジャック:これ、衣装などが極彩色の版画になって出版される予定です。

   *この図録は現在、フランス国立図書館(BnF)の電子図書館Gallicaで閲覧できます。本文末尾をご参照ください)

ノーデ:おお、ジャック、さすがに本の行商人だけあって、耳が早いな。

ジャック:本のタイトルはまさしく「Ballet du Roy aux festes de Bacchus, dansé par Sa Majesté au Palais Royal, le 2e jour de May 1651」。

ノーデ:いやいやいや、これはすごいぞ。政府広報の「ガゼット」紙も書き立てるだろうよ。

ジャック:少年ルイ14世が踊る。

ノーデ:いや、王が踊るのだ、ジャック!

ジャック:王母アンヌ・ドートリシュ様、マドモワゼル、つまりムッシュー、ガストン・ドルレアンのご長女様、コンデ家の面々、それから宮廷の主だった方々の前で王様が踊るのですね。

ノーデ:人々に誰が国王か、しっかりと目に焼き付けられるようにして王は踊らねばならない。

ジャック:実際にそうなるといいですね!

ノーデ:あと数ヶ月で、成年をむかえられるのだ。

ジャック:いよいよ大人の仲間入りですからね。

5月のパリは何が起きてもおかしくない…

ノーデ:ところで、ジャック。このバレエに先立って、シャンティイ城でもイベントがあったようじゃないか?

ジャック:そうなのですよ。復活祭の週に、コンデ親王が宮廷の方々を招いて狩りを催し、連日、宴会と舞踏会が開かれたのです。

ノーデ:一見、雪解けムードだが、こういう時こそ、その下で何かが起きている。

ジャック:王妃様がコンデ親王の周囲の人たちに良い地位を約束なさったようですが…

ノーデ:いやいや、それこそが王宮の中に新たな波風を立てぬともかぎらんのだ。

ジャック:王様が踊っている裏にはやはり闇が蠢いているのですね。くわばらくわばら。

ノーデ:フランスの歴史では5月のパリには何が起きてもおかしくはない…

ジャック:そういえば、フロンドの乱の開始とされる4つの高等法院の団結も、5月13日でしたね。

ノーデ:1648年の5月13日。今から三年前のことだ。

ジャック:もう、あれから三年経ったのですね…

https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b105446557/f150.item


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