カリスマ性を失うコンデ親王
ボーフォール公のヴァンセンヌ脱出劇と比べられ、カリスマ性を失うコンデ親王
ノーデ:どうも、コンデ親王の評判がますますよろしくない。
ジャック:なんとなく感じられますね、それ。
ノーデ:ボルドーの乱もルテルの攻防戦も、結果的にコンデ派は勝ったとはいえない。失うものも多かった。
ジャック:ラ・ロシュフーコーさんなんて、お城を破壊されてます。みなさん、コンデ親王を助けるためによく戦いましたよ。
ノーデ:そうだろう。言ってみれば、コンデ親王の解放は、ご自身の力というよりは、一族郎党、そして加勢した大貴族たちの努力の賜物なのだ。
ジャック:たしかに、たしかに。
ノーデ:ここへきて、その点をボーフォール公爵と比べる人が出てきているのだよ。ほら、フロンドの乱の始まりにおいて、ヴァンセンヌ城に閉じ込められていたボーフォール公がフロンド派に加勢するために脱獄したというのがあったろう?
ジャック:脱出不可能といわれたヴァンセンヌ城のドンジョンからの逃亡に成功した男!
ノーデ:フロンドの乱に先立つ5年前、1643年の8月に、ボーフォール公はマザラン枢機卿を狙った陰謀を企てた咎で捉えられ、ヴァンセンヌ城に幽閉されていたのだ。
ジャック:フロンドの乱に馳せ参じるために、自ら脱獄した…だが、ボーフォール公だって、家臣の力は借りましたけれどね。
ノーデ:のちの世のアレクサンドル・デュマなる人物が『ダルタニャン物語』で詳細に語ることになる脱出劇。
ジャック:ボーフォール公はガチのフロンド派ですからね。
ノーデ:この比較はボーフォール公アゲが目的かもしれないが、こういう話が出てくると、いよいよコンデ親王のイメージが下がるな。
ジャック:民衆は忘れっぽいですけど、なにかのきっかけで思い出すこともありますからね。2年前にコンデ親王に包囲され、飢えさせられたことだって、本当は忘れていませんよ。
貴族からも背を向けられるのか…
ノーデ:このカリスマ性の喪失は、じつは此度の反乱に加わった貴族たちの間にも広がっている。
ジャック:結束は固いのではなかったのですか?
ノーデ:反乱に加わったことにより、貴族たちもそれなりに損害を被っているのだよ、ラ・ロシュフーコーさんのようにね。
ジャック:国王軍に散々に領地を荒らされ、城を燃やされていますからね。
ノーデ:皆、疲れている。もう戦いたくない気分なのだ。
ジャック:宮廷とは仲良くしておいたほうがいいと。
ノーデ:あと3ヶ月もすれば、ルイ14世も成年に達する。
ジャック:王様を担いでやっていこうぜと。
ノーデ:コンデ親王はふたたび前のように自分に忠誠を誓う貴族たちのネットワークをつくろうとしている。だが、少なからぬ貴族がその期待にはそえないと考えているようだ。
ジャック:摂政である王妃様には歓迎したくなる動きですね。
ノーデ:実際に、穏健派の貴族は摂政側につき始めている。
ジャック:すると、コンデ親王はどうするのでしょう?フロンド派に接近するのでしょうか?
ノーデ:いやいや、もともとフロンド派を嫌っていたので、自分から接近しようとは思わないはず。
ジャック:それじゃ、四面楚歌?
ノーデ:大きく風向きが変わりそうな気配がする。

