1651年6月21日―6月27日

王妃のあせり

ノーデ:王妃様が企んでいることが漏れているぞ。

本の行商人ジャック:えええ!

ノーデ:コンデ親王が警戒している。

ジャック:おやまぁ、どっから漏れたのかな?

ノーデ:やっぱり枢機卿がいないと…脇が甘くなっていかんな。

ジャック:それじゃあ、もう身柄拘束なんか無理でしょ。

ノーデ:柳の下にドジョウは二匹いない。去年の1月のようにはいかんさ。王妃様のお呼び出しがあっても、コンデさんはもう宮廷にはあがらんだろうからな。

ジャック:だけど、ノーデ先生、そもそもなんで王妃様はコンデ親王を逮捕しようしているので? そんな必要があるのでしょうか…。

ノーデ:王妃様は心配でたまらないのだ。

ジャック:何が? 

ノーデ:息子のためを思ってだよ。

ジャック:あと数ヶ月で王様は成年に達するじゃないですか。

ノーデ:いや、だからこそだ。王妃様は息子に確実に王権を渡したい。成年になる日が近づけば近づくほど、邪魔が入るのではと心配がつのるのだ。

ジャック:ナーバスになっておられると。

ルイ14世にとっての脅威とは…

ノーデ:息子にとっての最大の脅威が筆頭親王家とコンデ親王と叔父のムッシュー。

ジャック:なんで?

ノーデ:王位継承権をもつからさ。片や強大な軍事力を動かしうる。もう片方はフロンド派に近すぎる。それに…

ジャック:それに?

ノーデ:マザラン枢機卿がいないのだから、息子を守れるのは母である自分だけだと。

ジャック:ほぼほぼ強迫観念的!

ノーデ:ゴンディ協働司教はそこに巻き込まれたな。

ジャック:昔からコンデ親王とは合わない。一方でムッシューの腰巾着にもなっている。両者を仲たがいさせておく役割にはうってつけの人物ですし。

ノーデ:とりわけ、コンデ派のラ・ロシュフーコーさんとは犬猿の仲で、しょっちゅうぶつかっている。

ジャック:これからバチバチと火花が散りそうですね。

ノーデ:火花だけですめばいいのだがね。

ルイ14世とアンヌ・ドートリシュ(ヴェルサイユ宮殿所蔵)