1651年9月6日―9月12日

ついにコンデ親王が本気出した

本の行商人ジャック:ノーデ先生、ノーデ先生、大変です!

ノーデ:相変わらず、声がでかい。騒がしいぞ、ジャック。

ジャック:すいませんねぇ。行商人なもんで。

ノーデ:それでどうした?

ジャック:コンデ親王がパリを離れられました。

ノーデ:なんと!それでは本気で宮廷と決裂するつもりなのだな。

ジャック:もう後戻りはできないって感じですかね。

ノーデ:それで、どこを目指している?

ジャック:ギュイエンヌ地方だそうです。

ノーデ:そりゃまた厄介なことになったぞ。

ジャック:ボルドー蜂起でしょうか?

ノーデ:王様がやっと成年をむかえられたというこの時期に。

ジャック:また内戦に発展するのでしょうかね?

ノーデ:どうも、今度ばかりはコンデ親王も本気のようだぞ。

ジャック:こりゃあ長引きますよ。

向かうところ敵なしのゴンディ協働司教

ジャック:とはいえ、今週は正式に、ルイ14世が成年に達したことが宣言された。これはめでたいことです!

ノーデ:それにともなって、大臣の顔ぶれが変化したな。

ジャック:そうそう、シャトーヌフさんやパリ高等法院長モレさん、それにあとひとりを加えた新内閣が発表されました。

ノーデ:しかし、その面々を見ると、どうもポール・ド・ゴンディ協働司教よりとしか見えない。

ジャック:やることが露骨ですよね。先日暴露された密約のとおりじゃないですか。

ノーデ:コンデ親王が反発するのも当たり前だな。裏にマザラン枢機卿がいるとバレバレだ。

ジャック:じつはコンデさんだけじゃないんですよ。ムッシュー、すなわちルイ14世の叔父さんであるオルレアン公も眉をひそめているとか。

ノーデ:おや、オルレアン公の腰巾着だったのではないか、ゴンディ協働司教は?

ジャック:鞍替えしたってことでしょう。遠くからマザラン枢機卿が放っている「鼻薬」が効いてきたのでしょう。

ノーデ:目の前でヒラヒラされた枢機卿の帽子はまことに芳しい香りを放っているということだな。

ジャック:もはや協働司教はそれしか目に入っていない…

ノーデ:王妃様がそれを約束したのであれば、自分は宮廷の信任を背負っていると思うくらい自我を肥大化させていることだろう。

ジャック:気分は向かうところ敵なし。

ノーデ:だが、それは危うい力関係の上にあるのだよ。

ジャック:ゴンディさんはマザラン枢機卿が帰ってくるという可能性は考えていないのでしょうかね?

ノーデ:枢機卿の帽子をもらったとしても、それだけでマザラン枢機卿が宮廷で占めていた地位を引き継ぐことができるとは思えないが。

ジャック:ゴンディさんはお育ちがいいだけに楽観的なのでしょうか…

1651年、グラン=シャンブルにおけるルイ14世の国王親裁座(版画 カルナヴァレ美術館所蔵)

https://www.parismuseescollections.paris.fr/fr/musee-carnavalet/oeuvres/lit-de-justice-tenu-par-le-roy-en-la-grand-chambre-du-parlement-de-paris-en#infos-principales