1649年9月17日〜9月23日

コンデ親王の宣戦布告(に近い宣言)

ノーデ:コンデさんのお怒りもわかるが、しかし、王妃様としては、親王のいいなりになるわけにはいかない。それじゃ王の権威が守れない…

本の行商人ジャック:というわけで、宮廷には、今、激震が走っています。

ノーデ:あれから、ル・テリエさんがマザラン枢機卿の代理としてコンデ親王に会い、王妃様の決定、つまり残念ながら、ロングヴィルさんにはポン=ド=ラルクはあげられませんよとお伝えに行きました。

ジャック:結果は…想像するだに、おそろしいです。

ノーデ:烈火のごとく、あるいは阿修羅のごとく、頭から湯気を出して、マザラン枢機卿には、今後、もういっさい、会議以外ではお目にかかりません(キリッ)と宣言なさったそうです。

ジャック:いや、もうこれは、はっきり言って宣戦布告。

ノーデ:これまでは味方してきたけれど、もう助けてなんかやらないぞ!ともおっしゃったらしいですね。

歓喜するロングヴィル公爵夫人とフロンド派

ジャック:姉のロングヴィル公爵夫人は大喜び、ですよね!

ノーデ:去年からずっと、弟を自分の味方につけようとして失敗していますからね。

ジャック:コンデ親王はがんとして、ご自分の役目は宮廷と共にあると、フロンド派になった姉と弟をしりぞけてきたわけですし…

ノーデ:ロングヴィル夫人のまわりにいるフロンド派の貴族たちも、これで強い味方を得たと思っていることだろう。なにせ軍事力!

ジャック:宮廷には、先王とリシュリュー枢機卿の時代に追放され、亡命していた人たちが戻って来ています。

ノーデ:そして新しい王ルイ14世はまだ幼い…だからそこにつけ入り、権力に近づきたいのだが、それには王妃様とマザラン枢機卿が邪魔なのだ。

ジャック:それぞれの思惑があり、対立する利害があったにしても、反マザランを旗印にすれば、一時的は協力体制ができるというわけです。

外国人排斥

ノーデ:それに王妃様もマザラン枢機卿も外国人だからね。

ジャック:容易に外国人嫌悪、排除へと流れうる。

ノーデ:先王の母、マリ・ド・メディシスもイタリアから来る時に連れて来た侍女、レオノーラ・ガリガイとその夫コンチーノ・コンチーニを重用しすぎて、権勢を振るうがままにさせた前例がある。その記憶も新しい。

ジャック:たしかルイ13世自ら暗殺司令をだして、コンチーニを排除せねばならなかったと。

ノーデ:反マザラン派はその記憶を掻き立て、国の政治に外国人が口出ししてはならない、フランスをフランス人の手に取り返そうと、大義名分を掲げる。

ジャック:それって、移民排斥を旗印にする未来の極右政党みたいですね?

ノーデ:より正確に言うと、フランスを本来の支配者、われわれ封建貴族の手に取り戻すのだ、というわけだ。

ジャック:しもじものものは、どーでもいいんですよね?

ノーデ:そうむくれるな、ジャックよ。革命はまだ先だ。

C’était La Fronde表紙